ISO 27001:2013からISO 27001:2022への移行は、情報セキュリティ管理システム(ISMS)の強化と最新のセキュリティ要求事項への対応を目的としています。このプロセスを成功させるためには、新規格の理解、差分の把握、文書類の改訂、内部監査などをステップごとに行う必要があります。以下に、企業がこの移行を成功させるための詳細な手順を解説します。
ステップ1: 新規格の理解
ISO 27001:2022の概要把握
- まず、ISO 27001:2022の全体的な概要を理解することが重要です。新規格では、情報セキュリティリスク管理の強化、セキュリティコントロールの見直し、継続的な改善が求められています。
差分の把握
- ISO 27001:2013とISO 27001:2022の具体的な違いを把握します。特に、要求事項や新たに追加された管理策について詳しく理解します。
教育と訓練
- 新規格に関する教育と訓練を実施し、従業員が新しい要求事項を理解し、実践できるようにします。特に、リーダーシップチームとISMS担当者に重点を置いて教育を行います。
ステップ2: 差分分析とギャップ分析
現状の評価
- 現在のISMSの状態を評価し、ISO 27001:2013の要求事項と比較して、ISO 27001:2022の要求事項を満たしていない部分を特定します。
ギャップ分析
- 差分分析の結果に基づいて、ギャップ分析を実施します。どの部分を改善する必要があるか、新しいプロセスやコントロールの導入が必要な部分を明確にします。
ステップ3: 移行計画の策定
移行プロジェクトチームの編成
- 移行プロジェクトを担当するチームを編成し、プロジェクトマネージャーを任命します。各部門から代表者を選出し、移行計画を策定します。
移行スケジュールの作成
- 移行スケジュールを作成し、各ステップの実施期間と担当者を明確にします。スケジュールには、差分分析、ドキュメント改訂、内部監査、外部審査などの主要なマイルストーンを含めます。
ステップ4: ドキュメントの改訂
ドキュメントの見直し
- 現行のISMS関連ドキュメントを見直し、ISO 27001:2022の要求事項に合わせて改訂します。特に、情報セキュリティポリシー、リスクアセスメント手順、セキュリティコントロールに関する文書を重点的に確認します。
新しいドキュメントの作成
- 必要に応じて、新しい要求事項に対応するためのドキュメントを新規作成します。これには、追加された管理策や新たなプロセスに関する手順書が含まれます。
ドキュメントの承認
- 改訂または新規作成したドキュメントを経営陣に提出し、正式に承認を得ます。このプロセスにより、組織全体で新しいドキュメントが正式に運用されることを確保します。
ステップ5: 内部監査の実施
内部監査計画の策定
- 内部監査計画を策定し、改訂されたISMSの有効性を評価します。監査チームを編成し、内部監査の範囲とスケジュールを明確にします。
内部監査の実施
- 実際の内部監査を実施し、ISO 27001:2022の要求事項に適合しているかを評価します。監査結果を記録し、不適合があれば是正措置を講じます。
マネジメントレビュー
- 内部監査の結果をもとに、経営陣によるマネジメントレビューを実施します。レビューの結果、必要な改善策を特定し、実施計画を策定します。
ステップ6: 外部審査の準備と実施
予備審査(ステージ1)の準備
- 認証機関による予備審査の準備を行います。この審査では、ISMSの設計と文書がISO 27001:2022の要求事項に適合しているかを確認します。
予備審査の実施
- 予備審査を受け、認証機関からのフィードバックを受け取ります。不適合が指摘された場合は、速やかに是正措置を講じます。
本審査(ステージ2)の準備
- 予備審査の結果を反映し、必要な改善を行った後、本審査の準備を行います。全ての要求事項が満たされていることを確認します。
本審査の実施
- 認証機関による本審査を受けます。この審査では、ISMSの運用状況がISO 27001:2022の要求事項に適合しているかを確認します。
認証の取得
- 本審査に合格すると、ISO 27001:2022の認証を取得できます。認証書が発行され、企業は正式にISO 27001:2022に準拠していることを証明できます。
まとめ
ISO 27001:2022への移行プロセスは、新規格の理解、差分の把握、文書類の改訂、内部監査、外部審査といった一連のステップを通じて進められます。これらのステップを確実に実行することで、企業は情報セキュリティ管理システムを強化し、最新のセキュリティ要求事項に対応することができます。
RCSのISO 27001:2022移行支援サービス
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